屋根修理のカバー工法とは?

屋根修理のカバー工法とは?

屋根修理のカバー工法

屋根カバー工法とは?

屋根のカバー工法とは、既存の屋根の上に新しい防水シートと新しい屋根材を重ねる工法です。

カバー工法は「カバールーフ工法」や「重ね葺き」とも呼ばれる工事で、既存の屋根の解体や撤去は行いません。

そのため、施工費用や施工期間を抑えることができるなどのメリットがあります。

カバー工法の場合は屋根が二重になるので、ガルバリウム鋼板屋根などの軽い金属屋根を重ねるのが一般的です。

昨今のガルバリウム鋼板屋根などは30年近く耐久年数がありますが、屋根や建物の寿命を延ばすためにも、定期的な点検を行うことは大切です。

カバー工法の工事手順

カバー工法の工事は以下のような手順で行います。

①屋根材のてっぺんにある錬板金・貫板、雪止金具やアンテナなどを撤去する

②防水シートを張る

③新しい屋根材を施工する

④新しい貫板・錬板金などを設置する

⑤コーキング処理などの仕上げをする

カバー工法と葺き替えとの違い

カバー工法と葺き替えの主な違いは、既存の屋根を撤去するかしないかという点です。

葺き替えの場合は既存の屋根や防水シートをすべて撤去します。

屋根材だけでなく下地の劣化状態をチェックして、必要に応じてメンテナンスを行うのが一般的です。

そのため、葺き替えの場合はカバー工法に比べると施工期間が長くなります。

<施工期間の目安>

カバー工法 1週間前後
葺き替え 7~10日前後

 

ただし、屋根材の種類や屋根面の数などにより施工日数は異なります。

また葺き替えでは、既存の屋根の撤去費用や廃材処分費用がかかるため、カバー工法と比べると施工費用が高くなりがちです。

屋根全体を新しくして耐久性をアップさせたい、費用は高くても外観の美しさを重視したいという場合は、カバー工法よりも葺き替えを検討すると良いでしょう。

カバー工法できる屋根・できない屋根

カバー工法はどんな屋根にでも採用できるわけではありません。

カバー工法ができる屋根とできない屋根は次の通りです。

カバー工法できる屋根

カバー工法ができるのは、スレート屋根とアスファルトシングルの屋根です。

スレート屋根は、カラーベスト、コロニアル、スレート瓦などと呼ばれます。

アスファルトシングルとは、ガラスの繊維をアスファルトでコーティングした屋根材です。

カバー工法できない屋根

カバー工法ができないのは、瓦屋根や劣化の進んだ屋根です。

<瓦屋根>

カバー工法ができるのはフラットな状態の屋根で、瓦屋根のように湾曲のある屋根には施工できません。

また、カバー工法は既存の屋根に新しい屋根を重ねて乗せるため、重量がかかります。

瓦屋根の場合は瓦そのものが重いため、カバー工法は不向きです。

日本瓦だけでなく、洋式瓦の場合もカバー工法での施工はできません。

<劣化の進んだ屋根>

スレート屋根やアスファルトシングルの屋根でも、極端に劣化が進んでいる場合はカバー工法で施工することができません。

既存の屋根が傷んでいると、新しい屋根材をのせてもずれてしまうことがあります。

また、雨漏りしている場合は下地が傷んでいる可能性が高いため、下地のメンテナンスを行わないカバー工法は不向きです。

築30年以上経過していて、一度も屋根の修理をしたことがないという場合は、カバー工法ではなく葺き替えを検討してみてください。

屋根カバー工法のメリット

屋根カバー工法のメリットは主に次の3つです。

  • コストを抑えやすい
  • 屋根の断熱性・防音性・防水性がアップする
  • 工事期間が短い

コストを抑えやすい

カバー工法にはコストを抑えやすいというメリットがあります。

葺き替えと違い、既存の屋根の撤去費用や廃材の処分費用がかからないからです。

カバー工法で解体・撤去を行うのは主に錬板金や貫板なので、屋根全体を剥がす葺き替えに比べると大幅に費用を抑えることができます。

では、屋根の解体・撤去にどれくらいかかるのでしょうか。

屋根の撤去費用の目安は、スレート屋根の場合1㎡あたり2,000円~3,000円です。

屋根の面積を100㎡とすると、撤去費用だけで20万円~30万円かかります。

ただし、2004年以前に建てられた家は、スレートにアスベストが含まれている可能性があるので注意が必要です。

その場合、アスベストが飛散しないように特殊な方法で解体・撤去、廃棄処分を行うため、撤去費用は割高になっています。

ただし、屋根材の種類や屋根の面積などにより金額は異なるため、大まかな目安となります。

屋根の断熱性・防音性・防水性がアップする

カバー工法で屋根修理をすると、屋根の断熱性、防音性、防水性が向上します。

既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねることで空気の層ができ、屋根からの熱や冷気、雨音などが室内に伝わりにくくなるのです。

断熱性能の高い屋根材を使うことで、より断熱性がアップするでしょう。

また新しく防水シートを張るため、防水性も高まります。

工事期間が短い

カバー工法では屋根の解体・撤去を行わないため、比較的工事期間が短くて済みます。

屋根の形状や面積などにより異なりますが、工事期間が短い分、施工費用を抑えやすいです。

また、工事期間中は職人の出入りが気になるなど、なにかと不便に感じることもあるでしょう。

どうしても近隣住宅に迷惑をかけてしまう可能性もあります。

短期間でいつも通りの生活に戻れるのは、大きなメリットといえるでしょう。

屋根カバー工法のデメリット

屋根カバー工法には、メリットだけでなくデメリットもあります。

  • 屋根が重くなる
  • 屋根の状態により施工できないことがある
  • カバー工法は1度しかできない

屋根が重くなる

カバー工法では、既存の屋根に新しい屋根を重ねるため、屋根全体の重量が増します。

そのため、建物の耐震性に不安を感じるかもしれませんね。

新しい屋根材には、軽量のガルバリウム鋼板などを使用するのが一般的です。

また屋根の重さは分散されるため、耐震性に大きな影響はないといわれています。

築年数の古い建物など、耐震性に不安がある場合は、リフォーム業者に相談しておくとよいでしょう。

屋根の状態により施工できないことがある

既存の屋根の状態によっては、カバー工法で施工できないことがあります。

屋根が著しく劣化していたり、屋根下地が腐食していたりすると、カバー工法ではなく葺き替え工事になる可能性が高いです。

また、カバー工法では屋根を剥がさないため、下地の確認やメンテナンスを行うことができません。

下地が劣化したまま新しい屋根を重ねると、やがて建物にダメージを与えてしまうでしょう。

せっかくカバー工法で屋根を修理したのに、下地の劣化が原因で雨漏りしてしまう可能性もあります。

その場合は、既存の屋根と新しい屋根の両方を撤去して、補修や補強をしなければいけません。

葺き替えよりも高額な費用がかかってしまうので、カバー工法が可能かどうかしっかりと調査を行ってもらいましょう。

カバー工法は1度しかできない

カバー工法で屋根の修理を行えるのは1度きりです。

既存の屋根の上に新しい屋根を重ねている状態なので、さらに屋根を重ねて3重にすることはできません。

子どもが家を相続するような場合は、将来的なメンテナンスについても考慮するとよいでしょう。

長期間の耐久性を求める場合は、葺き替えも検討することをおすすめします。